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すっかり秋になり…と書こうと思ったが実際はまだ最高気温30度弱と残暑が続いており、外に歩いている大半の人が半袖Tシャツを着用している。


ただ店内には2025年秋冬の洋服が多く立ち上がり、お店に来るお客様の目線は先を見越しジャケットやニットを購入し、涼しくなり購買した洋服に袖を通し出かけるのを待ち焦がれている方がほとんどだ。


夜は幾分涼しさが覗いているが、実際僕は自宅で映画鑑賞をしている事が大半だ。

10年ほど前から映画に熱中するも手を伸ばしていた作品は海外の作品ばかりで。

ただ最近は自国の作品、芸術に対しての関心を広げるべきだと感じ、国内の映画作品に視野を広げ楽しんでいる。


昔から海外への憧れが強く、映画に限らず音楽ではアメリカやイギリスのバンドを好んでいた僕がここ日本で生まれた物でずっと好きなのが”洋服”だ。


(”洋服”と言っても勿論西洋で作られたものなので、厳密に言うと”日本で作られた洋服”が正しい。)


9/6 渋谷ヒカリエ9階にあるヒカリエホールで行われたORIMI Spring/Summer 2026 runway show ”ELSEWHERE”。

 

 

 

ブランド2回目となるshow形式でのコレクション発表だったが僕は間違いなくそこに日本の洋服の誇らしさを感じた。


また楽天ファッションウィークが行われた6日間のうち最終日の最終枠というフィナーレを飾りブランドとしての注目度の高さが伺える。


タイトルである”ELSEWHERE”は「ここではないどこか。あるいは日常と地続きの非日常。」を意味し、都会の忙しなさの中にある孤立感や圧迫感といった不安定な感情を映し出している。

ワイヤーが仕込まれたシャツは着る者それぞれの身体へ反発するように動き、枠から抜け出し自由への憧れが垣間見えたり、上質なウールで作られたテーラードジャケットはボタンフロントが捻じられ、違和感もしくは不完全な中にそれぞれが正解を解釈していいものなのだと感じた。

 

 


今回の全スタイリングには折見さんの旧友で現在はストッ クホルムを拠点に活動する Leung Pak Tingさんが担当しており、ファッションや音楽を共通言語とし折見さん自身の親しみやリアルな日常や感情がより反映されたコレクションとなった。

(今回のモデル数が"27"人になったのも音楽的背景が色濃く反映されているなと感じた。)

シーンを先導する街東京で生まれ、今現代の人間が悩み抱える混沌とした理性を洋服に落とし込みアプローチするORIMIは、我々の感情を代弁する救済なのかも知れないと本気で思わされた。


当日会場には数多くの業界関係者やインフルエンサーの方々が足を運んでくださり、エレファントのお客様も全員ORIMIを纏い参列していた。

大阪店で顔馴染みのお客様もたくさん来てくださり、遠い場所から訪れたのにも関わらず疲れを感じさせないshowへの期待が現れた表情に僕まで嬉しくなった。

 


すでに沢山のメディアで紹介いただいているので目を通している方がほとんどだと思うが、YouTubeにshow全編が掲載されているので音楽や動きと共に見ていただきたい。

ORIMI 2026 S/S COLLECTION

ORIMI 2026 S/S BACKSTAGE

実際にshowが終わり店頭に足を運ぶお客様の中で「ORIMIを見に来ました」と言う方がかなり増えブランドとしても更に人気が出てきている。


Showで披露された洋服が店頭に並ぶのはまだ先の事なので、先日届いたORIMI 2025 Autumn/Winter collectionを紹介したい。

 

 

 

"Puzzle/Uniform"という冠を持った今シーズンは衣服の「構造」そのものに対して分解を行い再解釈、再構築から生まれたシーズンであり、その対象として「Uniform(制服)」を模範とし衣服の在り方、身体への交わりを問いただす洋服が多く発表された。

 

UNIFORMA PEA COAT

 


ミニマルで無駄を削ぎ落とした短丈のピーコート。

今期のテーマである”Uniform”を体現する一着だが同生地のくるみボタンを採用する事でORIMIらしいエレガントな仕上がりになっている。

その分パターンメイキングが素晴らしく目立ち、着用した際の風格や佇まいは文句無しに格好がつく。

大きくとられた襟は寒い冬に立てた際にしっかり首を守り男らしい様になる。

 


ORIMIの人気アイテムであるOVERLAP BUGGY DENIM PANTSとも相性が良く両者の良さが際立つスタイリングが完成する。

勿論細いトラウザーに合わせカルチャー感をしっかり作るのも良い。

思い返してみれば去年短丈のコートを着ている子が少ない気がしたので、今年のメインアウターに選んで沢山のスタイリングで活躍させて欲しい。



DESTROY HOODIE

 

 


名前の通り幾分なく生地を破壊させたジップフーディ。

店頭でもかなり人気が高いアイテムで実際に折見さんが私服で着用しているヴィンテージのフーディからパターンを取り、ポケット上部にツマミを入れサイズ感を調整している。

 

 

 

洗いが掛かったコットンの風合いとリサイズで捻れたフロントジップがデザインとなり袖を通すだけで十分に雰囲気が出るアイテムだなと感じる。


ORIMIの前シーズンでもズタズタに引き裂かれたTシャツがあったり、”破壊”を通して何かを訴えかけるといういかにもパンクマインドを感じられる。




NIGHT LIFE TROUSERS

 


最後はブランドの中で大変人気の高いスラックスから新型が作られた。

今シーズンも展開しているPERFECT SLACKSに比べより裾が広がりベルボトムに近いシルエットになっている。

その分靴に溜まる生地量も多く所謂ORIMIが打ち出す”違和感”を顕著に表している。

 

 

 

また光沢と深みが混合するベルベット生地は非常にモードな雰囲気に包まれ、通常のウールスラックスとは一線を画すスタイリングを可能にする。

 

 

 

また別生地のFLOCKY WOOLは折見さん自身がデザインしたオリジナルのフラワーパターンで今季のLOOKでもかなり目を引いたアイテムだ。


ベルベットとフロッキー。両者共”パンツで遊ぶ”という一見シンプルだが奥の深いコーディネートに一役買って出るだろう。



先ほども記述したが間違いなく現代のファッションシーンでの注目度は高まっている今、ORIMI独自の世界観はより多くのカルトユーザーを産むことになるだろう。


僕自身ブランドの立ち上げ当初からファンであるがより一層今後が楽しみで仕方ない。

心を震わせ、自身に共感できる洋服をORIMIで見つけに来てください。

 

福原幹二

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