基本的にこのブログの意図としては当店のお客様に向けてを大前提として、やっぱり僕個人の日記的な用途も強いと思う。
洋服のディテールだけをつらつらと書くのも服屋としては正しいのかも知れないが、映画や音楽(無論洋服も)など作り手の感情や思考を考え読み取れる物が僕は好きで。
なのでこのブログは書いている僕やお店に対してとっつき易く、親近感を抱いて欲しいなと思っている。
この様な事を書くのは野暮なのかもしれないが、今回に関しては僕の感情や興奮具合が顕著に表れそうな記事になると思うので前置きだけ書きたかった。
現在アパレル業界では24AWのアイテムが着々と届き店内には秋冬ムードが漂っているが、我々バイヤーは半年前以上前に買い付けを行なっていた。
お客様にどういったアイテムが気に入ってもらえるか。それは普段来てくれている方も新しいお客様に対しても。
バイヤーとしてその瞬間にとてもやり甲斐を感じる。
そんな気持ちを持ちつつやっぱり我々スタッフも皆様と同じ服好きではあるので個人的に欲しいアイテムやテンションが上がる洋服も多々ある訳で。
その中で僕が1番楽しみにしていたアイテムがあるブランドから届いた。
POST ARCHIVE FACTION
これこそが Post Archive Faction(PAF) の世界です。
2018 年に立ち上げられた、この韓国のメンズウェア ブランドは、アバンギャルドなスポーツウェアに未来主義的なアウターウェアを融合し、ファッション業界の主流から離れた、空想的なコレクションを創り出しています。 「反ファッション」ブランドである PAF の世界観は、型にはまらないものや、アンダーグラウンドなもの、役に立たないものを通して表現されます。
PAF は容易に分類されることを拒んでいますが、使用されるハイテクな生地、反射材を用いたテキスタイル、透明な PVC 素材とアシンメトリな仕立ての組み合わせ、クリンクル加工の技術、パネル仕立てを見るに、紛れもなく終末世界を思わせるブランドです。 トラウザーズ、ジャケット、シャツ、スウェットシャツを解体し、再度組み立てることで、親しみのあったものを見知らぬものに変えてしまう。 これこそが、PAF の魔法といえるでしょう。 グレー、ブラック、ホワイトに包まれたコレクションは、不気味で荒廃した世界に共鳴する美学を表現しており、その独創的かつ計算されたデザインには、PAF の反体制的な姿勢がにじみ出ています。
PAF 7.0 COAT CENTER
コートの中でもクラシカルなダッフルコート。
僕は学生の頃から優等生感漂うダッフルコートに憧れがあった。
大人っぽいけれどどこか好青年っぽいフード、可愛げのあるパッチポケットやトグルボタンといったコートの中でもダッフルコートでしか無いディテールが多く他より優遇されているなと。
そんなダッフルコートがPAFの世界観で解釈され唯一無二のコートが完成した。
素材はWOOL80%にCASHMEREが20%も入っている為ヘビーアウターとしての重厚感は保ちつつ、繊細で柔らかく保温性にも優れている。
一番目を引くトグルボタン。
一般的なダッフルコートのトグルボタンより3〜4倍ほど大きく作られていて、PAFらしく真っ黒で仕上げられている。
寒い地域で手袋をしたままでも開閉がしやすい様にと作られた実用的な要素は残りつつ、前後360度に満遍なく取り付けられている。
またフード部分にもアクセントとして目立つのが個人的に堪らない。
PAFらしいアシンメトリーなパターンは着る人によって表情を変え圧倒的な佇まいを演出してくれる。
やっぱりPAFが作る黒色は説得力があるなと改めて痛感した。
先程書いたように個人的な憧れがあったダッフルコートが故にしっくりくるものが少なく自分には縁が無いのかなと思っていたがやっと理想の1着に出会えた。
PAFはローンチしたばかりなので全アイテム紹介するのが正しいのかもしれないし、9月といってもまだまだ暑い中コートを提案するもの的外れなのかも知れないがどうしてもこの初動の高揚感をそのまま文章にしたかった。
なかなかに良いお値段がするアイテムではあるが、自分のクローゼットに一張羅として選んで欲しいし間違いなく世界中探してもこれよりストイックで自分の背筋が伸びるダッフルコートは本当に見つからないと思う。
僕も早くこのコートを着れる季節になって欲しいと願うばかり。
間違いなく今年1番の買い物になるだろう。
福原幹二